2014年08月17日

デオキシリボ核酸(DNA)について(1)

デオキシリボ核酸(デオキシリボかくさん、英: deoxyribonucleic acid、DNA)は、核酸の一種。

地球上の多くの生物において遺伝情報の継承と発現を担う高分子生体物質である。



●構成物質と二重らせん構造

DNA はデオキシリボース(五炭糖)とリン酸、塩基 から構成される核酸である。

塩基はプリン塩基であるアデニン(A)とグアニン(G)、ピリミジン塩基であるシトシン(C)とチミン(T)の四種類ある。


T。2-デオキシリボースの1'位に塩基が結合したものをデオキシヌクレオシド、このヌクレオシドのデオキシリボースの5'位にリン酸が結合したものをデオキシヌクレオチドと呼ぶ。



ヌクレオチドは核酸の最小単位であるが、DNAはデオキシヌクレオチドのポリマーである。

核酸が構成物質として用いる糖を構成糖と呼ぶが、構成糖にリボースを用いる核酸はリボ核酸 (RNA) という。

ヌクレオチド分子は、糖の3’位OH基とリン酸のOH基から水が取れる形でフォスフォジエステル結合を形成して結合し、これが連続的に鎖状の分子構造をとる。


ヌクレオチドが100個以上連結したものをポリヌクレオチドと言うが、これがDNAの1本鎖の構造である。


DNAには方向性があるという。

複製の際、DNAポリメラーゼは5'→3'末端の向きでDNAを合成する。

RNAの転写もこの方向性に従う。



2重鎖DNAでは、2本のポリヌクレオチド鎖が反平行に配向し、右巻きのらせん形態をとる(二重らせん構造)。

2本のポリヌクレオチド鎖は、相補的な塩基 (A/T, G/C)対の水素結合を介して結合している。

塩基の相補性とは、A、T、G、Cの4種の塩基うち、1種を決めればそれと水素結合で結ばれるもう1種も決まる性質である。


A/T間の水素結合は2個、C/G間は3個であり、安定性が異なる。

例外的に、特殊な配列が左巻きらせん構造をとる場合があり、これはZ型DNAと呼ばれる。

この相補的二本鎖構造の意義は、片方を保存用(センス鎖)に残し、もう片方は、遺伝情報を必要な分だけmRNAに伝達する転写用(アンチセンス鎖)とに分けることである。

また、二本鎖の片方をそのまま受け継がせるため、正確なDNAの複製を容易に行うことができるため、遺伝情報を伝えていく上で決定的に重要である。

DNA損傷の修復にも役立つ(詳しくは二重らせん)。

DNAの長さは様々である。

長さの単位は、二本鎖の場合 bp(base pair: 塩基対)、一本鎖の場合 nt(nucleotide: 塩基、ヌクレオチド)である。




●立体構造

細胞内のDNAには、原核生物やミトコンドリアDNAのような環状と、真核生物一般に見られる線状がある。

自然界のDNAは螺旋巻き数が理論値(1回転あたり10.4塩基)よりもほんの少し小さい。

線状DNAには問題は無いが、環状DNAではこの差による不安定を解消するために環にねじれが生じ、これをDNAの超らせん(または負の超らせん)という。




●DNAの化学的性質


2本のポリヌクレオチドを結びつける水素結合は不安定なため、沸騰水の中では離れて1本鎖になる。

しかしゆっくり冷ますとポリヌクレオチドは相補性から再び結合して元に戻る。

このようにDNAが1本鎖になる事を「DNAの変性」、元に復元する事をアニールという。

変性が50%起こる温度はTmと記され、A/T対が多いほど低い。

Tmは一価の陽イオン濃度が低い場合や、水素結合を遊離させやすい尿素やホルムアミドなどが存在すると下がる。

穏やかな方法で単離されたDNAは白色のフェルト状繊維で、そのナトリウム塩の水溶液は粘性が高く、流動複屈折を示す。

これは熱、酸、アルカリに容易に変性し、粘度は低下し、乾燥すると粉末となり、もはや繊維状になり得ない。

この変化から分子量は数百万から2万〜3万程度に下がってしまう。この化学組成はアルカリに対しては安定性が高いが、酸には弱く、容易にプリンを遊離する。

この変化に伴い、デソキシペントースのアルデヒド基が遊離し、シッフ試薬を赤紫に変色させる。

この呈色反応をフォイルゲン反応と呼び、これを利用して、DNAを含む核や分裂中の染色体を赤紫に着色して観察できる。


DNAの吸光度は塩基によって紫外線260nmを吸収極大としている。

この値は、塩基が接近しているほど小さい。塩基が極めて整然と、かつ接近している二本鎖DNAよりも、不規則に配列しているときの一本鎖DNAのほうが光を吸収する力は強い。

例えば、A260=1,00である二本鎖DNAと同濃度の一本鎖DNAについて、A260=1、37である(詳しくはDNAの巻き戻し参照)。

変性したDNA溶液から、未変性状態のDNA状態と同じDNAを作ることができる。

異なる分子種から得た一本鎖の試料を混ぜて再結合DNAを形成させる手法をハイブリッド形成という。

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2014年08月14日

細胞核について

●細胞核について

細胞核(さいぼうかく、英語: cell nucleus)とは、真核生物の細胞を構成する細胞小器官のひとつ。

細胞の遺伝情報の保存と伝達を行い、ほぼすべての細胞に存在する。

通常は単に核ということが多い。




●細胞核の歴史

オーストリアの植物画家フランツ・バウアーによって1802年に発見された。

イギリスの植物学者ロバート・ブラウン(Robert Brown、1773年12月21日 - 1858年6月10日)により1831年に再発見され、ロンドンのリンネ協会に説明された。



●細胞核の構造

通常、核は細胞に1つある(例外は後述)。

また核内には1つ以上の核小体がある。

細胞の他の部分(細胞質)とは、核膜と呼ばれる2層の脂質二重膜によって隔てられており、核と細胞質間で物質輸送が行われるときには、核膜に空いた多くの穴(核膜孔)を通って行われる場合が多い。

核内には遺伝情報であるDNAのほか、核タンパク質、RNA(リボ核酸)が含まれており、DNAの遺伝情報は核でRNAに転写される。

細胞分裂時には、核内のDNAは凝集し、染色体と呼ばれる棒状の構造をとり、細胞分裂後の2つの細胞に分かれて移動する。

このとき、核の表面は二重の核膜で包まれる。

その後、それぞれの細胞では、再び核が形成され、染色体が消失、DNAが核内に広がる。

核内には、糸状に連なったDNA分子が結合蛋白質と複合体を構成しながら散らばっており、クロマチン(chromatin)あるいは染色質と呼ばれる。

染色質の名前は、ヘマトキシリン染色などの染色をした細胞を光学顕微鏡で観察すると、核内が濃く染色されることから、クロマチンは大きく2種類に分けられる。


・ユークロマチン(euchromatin)、あるいは真正染色質 - RNA転写活性が高く、DNAがよく広がり、多種の蛋白質と共存する部位

・ヘテロクロマチン(heterochromatin)、あるいは異質染色質 - 遺伝子発現が不活性化され、DNAと結合蛋白質の複合体は凝集されたままの状態になっている部位




●核が特徴的な細胞の例

多核体

多核体(たかくたい)は、合胞体(ごうほうたい)、シンシチウム(syncytium)、coenocyte、apocyte、polykaryocyteとも呼ばれ、1個の細胞に核がたくさんある細胞のことで、核が1個ある通常の細胞が細胞融合して形成されたものや、細胞質分裂を行わずに核分裂のみが進行した細胞。

以上
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2014年08月02日

交感神経のシナプスにおける伝達物質は?

問題1

交感神経のシナプスにおける伝達物質は?

(1)アドレナリン   (2)アセチルコリン




」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(1)アドレナリン 

(参考)

アセチルコリンは副交感神経の伝達物質。




問題2

交感神経が興奮すると血圧は?

(1)上がる  (2)下がる





」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(1)上がる

(参考)

副交感神経が興奮すると血圧は下がる。





問題3

脳実質と毛細血管との間にあるBBBとは?

(1)血液脳関門    (2)脳下垂体





」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(1)血液脳関門 =blood-brain barrier

脳に有害物質が取り込まれないようになっている。

脳内に薬を届けるためには、このBBBがひとつの障害となる。


(参考)

(2)脳下垂体

多くのホルモンを分泌する内分泌器官。
脳に接して、脳の直下(腹側)に存在し、脳の一部がのびてぶら下がっているように見えることからこの名がある。




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2014年07月28日

狭心症とは?

●狭心症とは?

狭心症(きょうしんしょう、angina pectoris)とは、心臓の筋肉(心筋)に酸素を供給している冠動脈の異常(動脈硬化、攣縮など)による一過性の心筋の虚血のための胸痛・胸部圧迫感などの主症状である。

虚血性心疾患の1つである。

なお、完全に冠動脈が閉塞、または著しい狭窄が起こり、心筋が壊死してしまった場合には心筋梗塞という。



●狭心症分類


発症の誘因による分類

労作性狭心症(angina of effort):体を動かした時に症状が出る狭心症。

安静時狭心症(angina at rest):安静時に症状が出る狭心症。




発症機序による分類

器質性狭心症:冠動脈の狭窄による虚血。

微小血管狭心症:心臓内の微小血管の狭窄及び攣縮による虚血。

患者の男女比が大きく、中でも更年期の女性に多く見られる症状で女性の場合は閉経により血管拡張作用を持つエストロゲンが減少することにより引き起こされる。

1980年代になってようやく発見された。


冠攣縮性狭心症(vasospastic angina):冠動脈の攣縮(spasm)が原因の虚血。

異型狭心症:冠攣縮性狭心症のうち心電図でST波が上昇している場合。


臨床経過による分類(AHA分類、1975年)

安定狭心症:最近3週間の症状や発作が安定化している狭心症。

不安定狭心症(unstable angina):症状が最近3週間以内に発症した場合や発作が増悪している狭心症。

薬の効き方が悪くなった場合も含まれる。

心筋梗塞に移行しやすく注意が必要である。

近年では急性冠症候群;Acute coronary syndromeという概念がこれに近い。




●狭心症の原因

一般的に狭心症は心臓の冠動脈にプラークという固まりができ、血液の通り道を狭くすることによって起こるもの。

誘因としては高血圧、高脂血症、肥満、高尿酸血症、ストレス、性格などが考えられる。

冠攣縮型(異型)狭心症は、心臓の血管そのものが異常収縮をきたし、極度に狭くなってしまうために起こる。

微小血管狭心症は、心臓内の微小血管の狭窄及び攣縮によって起こるもの。

誘因としては閉経、喫煙などが考えられる。





●狭心症の症状

狭心痛(締め付けられるような痛み;絞扼感や圧迫感)が主症状である。

痛みは前胸部が最も多いが他の部位にも生じる事がある(心窩部から、頸部や左肩へ向かう放散痛など)。

発作は大体15分以内には消失する。他に動悸・不整脈、呼吸困難、頭痛、嘔吐など。

症状を放置した場合、心筋梗塞、心室細動などを引き起こす場合がある。




●狭心症の検査

心電図:一般的にはST低下(下降)がみられる。

ホルター心電図:小型の心電図記録装置を24時間携帯し、検査を行う

運動負荷心電図:労作性狭心症では運動負荷で心電図に変化がみられる。

心筋血流シンチグラフィ:人工的に作られた放射性同位体(RI)を使用する。

使用されるのは、201Tlや99mTcである。特定の施設でしか施行できない。

冠動脈造影(coronary angiography:CAG)

血液検査:白血球、CRP、CK、CKアイソザイム、AST、LDHなどは心筋梗塞や不安定狭心症での鑑別に有用。

ペントラキシン(PTX3):炎症性蛋白であるが血管内皮で産生されており、血栓症と強い相関がある。心筋梗塞へ移行しつつある不安定狭心症の診断に有用と考えられている。


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2014年07月27日

水俣病とは?

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3)超入門・基礎医学、薬学の試験問題 (S269) 
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問題1.次の文章は何について説明しているか?

熊本県と新潟県の河川流域に再度にわたって発生をみた有機水銀
(メチル水銀)中毒で、日本の代表的な公害病の一つである。

(1) SMON   (2)水俣病





」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(2)水俣病


【参考】

(1) SMON (スモン)

整腸剤キノホルムによる薬害。
1955年頃より発生し、1967〜1968年頃に多量発生した。

SMONは「subacute myelo-optico-neuropathy」の略称、別名:亜急性脊髄視神経症







問題2.次の説明文は何を説明しているか?

A群溶血性連鎖球菌(溶連菌)による扁桃を中心とした上気道感染に個体の免疫応答
が加わって発症する全身性の炎症疾患で、膠原病の一つとされる。

溶連菌感染後に発症するが溶連菌感染症ではなく、溶連菌の毒素に対する抗体が
発症に関連するものとみられており、溶連菌は検出されない。

溶連菌感染者の3%前後が発症し、5〜15歳の小児に多い。後遺症として心臓弁膜症が
多くみられるのが特徴である。


(1)rickettsiosis    (2)rheumatic fever




    


」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(2)rheumatic fever (リウマチ熱)


【参考】

(1)rickettsiosis(リケッチア症)

リケッチア科に属する微生物を病原体とする感染症で、発疹チフス、発疹熱、
ロッキー山紅斑熱、つつが虫病、紅斑熱リケッチア症、Q熱、五日熱などが含まれ、
それぞれ病原リケッチアを異にする。




問題3.次の説明文は何を説明しているか?

生体に感染後、逆転写酵素を合成できるウイルスの総称。
エイズウイルス(HIV)、成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルス(HTLV‐1)などが知られている。


(1)Norovirus (2)Retrovirus





」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(2)Retrovirus  (レトロウイルス) 


【参考】

(1)Norovirus(ノロウイルス)

非細菌性急性胃腸炎を引き起こすウイルスの一種である。

カキなどの貝類の摂食による食中毒の原因になるほか、感染したヒトの糞便や嘔吐物、
あるいはそれらが乾燥したものから出る塵埃を介して経口感染する。

ノロウイルスによる集団感染は世界各地の学校や養護施設などで散発的に発生している。

「NV」や「NoV」と略される。

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2014年07月21日

ペストとは?

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3)超入門・基礎医学、薬学の試験問題 (S265) 
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問題1.次の文章は何について説明しているか?

14世紀に中央アジアからヨーロッパ全域を席巻した大流行は
歴史的にも知られ、当時のヨーロッパ全人口の4分の1にあた
る2500万人の死者が出たほどの大災害をもたらし、黒死病と
して恐れられた。
日本でも1898年(明治31)から1926年(昭和1)の間に2909人
の患者発生がみられた。

元来ネズミなど齧歯(げっし)類の流行病であり、これがノミ、
ナンキンムシ、シラミなどの昆虫の媒介によってヒトに感染する。
リンパ節腫(せつしゅ)、敗血症および肺炎などの病像を呈する。

(1) 疱瘡(ほうそう)   (2)ペスト







」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(2)ペスト


【参考】

(1) 疱瘡(ほうそう)

天然痘の俗称。
種痘が普及するまで、疱瘡はもっとも恐ろしい厄病とされていた。







問題2.次の説明文は何を説明しているか?

ボツリヌス菌に汚染された食品中で菌が増殖し、同時に産生された毒素を
経口摂取することによっておこる食中毒をいう。

発生はまれであるが、致命率の高い細菌性食中毒である。
生体内で増殖することはほとんどなく、汚染されたソーセージや缶詰、
または塩漬け食品中で増殖する。


(1)poliomyelitis     (2)botulism




    



」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(2)botulism (ボツリヌス菌食中毒)

治療

まず過敏症のないことを確かめてから、速やかに抗毒素血清療法を行う。
対症療法としては、部屋を暗くして刺激を避け、鎮静剤、抗菌剤、解毒剤、
強心剤、呼吸促進剤などを用いるほか、胃洗浄などを行うこともある。
呼吸困難に対しては必要に応じて気管切開を行う。

●乳児ボツリヌス症

乳児ボツリヌス症は、1976年にアメリカで発見された病型で、生後3週間から
8か月までの乳児がかかる。

経口摂取されたA、B型菌芽胞(胞子)が腸管内で発芽増殖して産生された毒素
によっておこる。蜂蜜(はちみつ)が芽胞のおもな媒介食品で、頑固な便秘、
吸入力の低下、弱い泣き声、運動麻痺症状が現れる。致命率は3%以下である。
日本でも1986年(昭和61)以来、数例みつかっている。




【参考】

(1)poliomyelitis (ポリオ)

ポリオウイルスによる急性伝染病で、脊髄神経の灰白質が侵され、夏かぜのよう
な症状が現れたのち、急に足や腕が麻痺して動かなくなる疾患をいう。

急性灰白髄炎、脊髄性小児麻痺、ハイネ‐メジン病Heine-Medinともよばれていたが
ワクチンの普及以来、単にポリオと略称されることが多くなった。







問題3.次の説明文は何を説明しているか?

ウイルスの感染によっておこる急性発疹性感染症で、感染症予防・医療法
(感染症法)では5類感染症・全数把握疾患に分類されている。
俗に「はしか」とよばれるが、三日ばしかは別の疾患(風疹)である。


(1)measles  (2)malaria





」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(1)measles (麻疹) 

麻疹はほとんどの人が一度はかかる重症の伝染病として古くから知られ、
昔は「命定め」とよばれて恐れられたが、1978年(昭和53)10月に定期予防接種の
対象疾患となり、患者の発生が著しく減少した。

しかし近年、麻疹患者数はふたたび増加傾向にある。2007年には10〜20代を
中心に全国的な流行が発生、多くの大学や高校が麻疹の流行で休校となった。

2008年1月から、麻疹の発生動向調査方法が、従来の定点把握から全数把握に変
更され、また定期予防接種の対象も拡大されるなど、麻疹排除へ向けた取組みが強化されている。




【参考】

(2)malaria (マラリア)

代表的な熱帯病の一種で、ハマダラカの刺咬(しこう)によって媒介される
三日熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、熱帯熱マラリア原虫および卵型
マラリア原虫の、単独または混合感染によっておこる原虫感染症をいう。


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2014年07月19日

クエン酸回路とは?

●クエン酸回路とは?

クエン酸回路(クエンさんかいろ)とは好気的代謝に関する最も重要な生化学反応回路であり、酸素呼吸を行う生物全般に見られる。

1937年にドイツの化学者ハンス・クレブスが発見した(この功績により1953年にノーベル生理学・医学賞を受賞)。


解糖や脂肪酸のβ酸化によって生成するアセチルCoAがこの回路に組み込まれ、酸化されることによって、ATPや電子伝達系で用いられるNADHなどが生じ、効率の良いエネルギー生産を可能にしている。

またアミノ酸などの生合成に係る物質を生産するという役割もある。


クエン酸回路の呼称は高等学校の生物学でよく適用されているが、大学以降ではTCA回路、TCAサイクル (tricarboxylic acid cycle) と呼ばれる場合が多い。

一般的には「クエン酸回路」の名称がよく浸透している。

その他に、トリカルボン酸回路、クレブス回路 (Krebs cycle) などと呼ばれる場合もある。



●クエン酸回路の反応系

クエン酸回路はアセチルCoAが反応系に組み込まれることで始まる。

それに先立って、解糖系で生成したピルビン酸は以下の式でアセチルCoAとなる。

ピルビン酸 + NAD+ + SH-CoA → アセチルCoA + NADH + CO2

この反応はピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体によって触媒される。

また、脂肪酸のβ酸化でも脂肪酸アシルCoAからアセチルCoAが生じる。



炭素の収支の観点から見るとアセチルCoAとオキサロ酢酸を入力すると、2分子の二酸化炭素とオキサロ酢酸が出力されてくることになる。

オキサロ酢酸が入力出力両方に現れることが、回路と呼ばれる由縁だが、入力されたオキサロ酢酸と同一のものが出力される訳ではない。

入力されたアセチルCoA由来の炭素は出力されるオキサロ酢酸に組み込まれ、出力される二酸化炭素は入力されたオキサロ酢酸に由来する。

嫌気条件になると電子伝達系でNADHの消費が停止し、解糖系の乳酸発酵にてNAD+に還元される。



●クエン酸回路の役割

クエン酸回路は異化反応回路と、同化反応回路としての二重の性質を持つ。


異化反応

クエン酸回路が1回転するとアセチルCoA1分子あたり3分子のNADH、1分子のFADH2、1分子のGTP(これは動物のみ、植物や原核生物はATP)、2分子の二酸化炭素が放出される。

エネルギー通貨の発生および電子伝達系で酸化的リン酸化を行うためのNADHの生産に寄与している。



同化反応

また、クエン酸回路に生じるいくつかの物質はアミノ酸やポルフィリンといった生体分子の生合成に寄与しており、特にアセチルCoAは生物体内で発生している数多くの反応によって触媒される。

オキサロ酢酸はホスホエノールピルビン酸となって解糖系の逆の反応系である糖新生に関与している。

この同化反応としての性質をクエン酸回路が有するため、回路を構成する化合物が不足することがある。

これらの物質を補充するための反応をアナプレロティック反応という。

最も代表的なものはピルビン酸がオキサロ酢酸となる反応で、この反応を触媒する酵素はピルビン酸カルボキシラーゼである。

本酵素はクエン酸回路を構成する化合物が不足することによって蓄積するアセチルCoAにより活性化される。



●クエン酸回路の所在

クエン酸回路の反応をになう酵素群は、真核生物の場合ミトコンドリアの基質に存在している。

解糖系によってえられたピルビン酸は同様にミトコンドリア内でアセチルCoAとなる。

好気性原核生物の場合は細胞膜付近にこれらの酵素群が存在する。

これはえられたNADHが細胞膜中に存在する電子伝達系に容易に運搬されるようにされるためだと考えられている。




●還元的クエン酸回路

真核生物や好気性の微生物中には酸化的クエン酸回路が存在するのに対し、一部の生物は好気呼吸を行わないにもかかわらずクエン酸回路の酵素群を所持している。

これらの生物は還元的クエン酸回路といって、上記に述べた反応と全く逆の反応を起こしている。



還元的クエン酸回路では、酸化的クエン酸回路とは逆にエネルギー輸送体の消費が行われると同時に、そのエネルギーを用いて二酸化炭素が固定する炭酸固定反応を起こしている。

即ちスクシニルCoAからイソクエン酸までの反応系でTCA回路1回転辺り2分子の二酸化炭素が生体分子になっている。



還元的クエン酸回路を持っている生物としては、もっとも有名なものに水素細菌という水素をエネルギー源として生活している細菌群の存在があげられる。

水素細菌の多くは成長因子としてエネルギー源の水素および二酸化炭素を要求するが、この要求性は還元的クエン酸回路に由来する。

炭酸固定された二酸化炭素は生物体の構築に向けて生体反応に組み込まれる。



また、2003年には本来植物と一部の細菌のみが行うと思われていた炭酸固定が、カイコによって行われていることが明らかになった。

カイコの炭素摂食量の1000分の1と言うわずかな量ではあるが、カイコの体内に空気由来の炭素の存在が安定同位体比によってあきらかになった。

カイコは以下の反応式で炭酸固定を行っている。

ピルビン酸 + ATP + CO2 → オキサロ酢酸 + ADP + Pi

エネルギーを用いる系ではあるが、ピルビン酸を直接オキサロ酢酸にすることによって炭酸固定が行われている。

この反応はリンゴ酸デヒドロゲナーゼ (EC1.1.1.38) という酵素が担っており、この酵素を持つ生物がほかにもいることがゲノムプロジェクトから明らかになりつつある。



以上


ラベル:クエン酸回路
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2014年07月17日

解糖系について(4)

●解糖系について(4)


解糖系への供給経路

解糖系の第一段階の基質はグルコースであるから、この回路にグルコースを供給することで解糖系が動きだす。

その供給の一部は糖新生によるが、このほかにもグルコースの供給経路がある。

また、段階1から先の段階へと基質を導入するための経路も存在する。

ここでは、糖新生以外のこれらの供給経路を紹介する。



●グリコーゲン、デンプン

グリコーゲンまたはデンプンからグルコース-6-リン酸を合成する一連の化学反応がある。

動物組織や微生物ではグリコーゲンをグリコーゲンホスホリラーゼ(glycogen phosphorylase)、植物ではデンプンをデンプンホスホリラーゼ(starch phosphorylase)の触媒により供給反応を開始する。

これらの触媒は、グルコース-1-リン酸と、1グルコース単位分だけ短くなったポリマーを生成する。

すなわち、この反応は異化反応である。


グルコースのポリマーは再び酵素により1グルコース単位分ずつ切られていき、分岐点から4グルコース残基を残すところまでこれを繰り返される。

分岐点近くでグリコーゲンホスホリラーゼまたはデンプンホスホリラーゼの活動はいったん停止するが、この後も異化反応は続く。

異化反応の次の段階は、2種類の酵素の動きを止めている分岐を除去することだ。

この作業は脱分岐酵素(debranching enzyme)によって二段階で進む。

脱分岐酵素は最終的に分岐点から伸びているのグルコースの「枝」のうちの一本をポリマーの非還元末端に転移させる。

分岐を失ったポリマーを再びグリコーゲンホスホリラーゼまたはデンプンホスホリラーゼが異化していく。

こうして、いくつも生み出されたグルコース-1リン酸は、ホスホグルコムターゼ(phosphoglucomutase)の触媒によりグルコース-6-リン酸となる。

これは可逆反応だ。

グルコース-6-リン酸は解糖系の1段階やペントースリン酸経路へと供給される。




●食餌中の栄養素

人の消化器系において、食餌中の多糖や二糖を解糖系で消費するための糖へと変換するプロセスがある。

ほとんどの場合、食餌中の糖の供給源はデンプンである。

デンプンの消化は口の中で始まる。

まず、口腔に分泌される唾液に含まれるα-アミラーゼによりデンプンは長鎖の断片またはオリゴ糖に分解される。

つづいて、食物が唾液とともに胃の中へと落ちるが、ここでα-アミラーゼはpHが低いため不活性化されてしまう。

次の消化は膵臓から小腸に分泌された別のα-アミラーゼにより行われる。

膵臓のα-アミラーゼは主にマルトースやマルトトリオース、限界デキストリン、あるいはα(1→6)分岐点を含むアミロペクチンの断片を生む。

このうち、マルトースとデキストリンはそれぞれ小腸の刷子縁膜に付着している酵素マルターゼ、デキストリナーゼにより単糖へと分解される。

デキストリン + nH2O → nD-グルコースマルターゼ + H2O → 2 D-グルコース



栄養は小腸の細胞に吸収されなければ解糖系などで活躍できない。

そのため、デンプンから最終的にD-グルコースに獲得する酵素が小腸に存在する。

デンプン以外の栄養素から由来する他の二糖ラクトース、スクロース、トレハロースも、単糖へと分解する酵素反応は小腸の表面で行われる。

それぞれの酵素はラクターゼ、スクラーゼ、トレハラーゼ。

ラクトース + H2O → D-ガラクトース + D-グルコーススクロース + H2O → D-フルクトース + D-グルコーストレハロース + H2O → 2 D-グルコース


これらの単糖は、体中の細胞の中で解糖系の準備期のそれぞれの段階に導入される。

この導入のためにATPを1当量必要とする、それぞれ異なる酵素反応を受ける。

D-グルコースはヘキソキナーゼの触媒によりグルコース-6-リン酸となり、段階1に導入される。

D-フルクトースもヘキソキナーゼの触媒を受けるが、こちらは段階2の基質であるフルクトース-6-リン酸となる。D-ガラクトースはさまざまな反応を経て段階1の供給に利用される。

食餌中のグリコーゲンもデンプンと非常によく似た構造をしており、その消化経路は同じ。


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2014年07月16日

解糖系について(4)

●解糖系について(4)

●解糖系の過程

段階7: 1,3-ビスホスホグリセリン酸からADPへのリン酸基の転移


報酬期の2番目のステップではホスホグリセリン酸キナーゼ (phosphoglycerate kinase、PGK、EC 2.7.2.3)の触媒により1,3-ビスホスホグリセリン酸からADPへと高エネルギーのリン酸基が転移し、ATPと3-ホスホグリセリン酸 (3-phosphoglycerate)が生成する。

解糖系の2つの基質レベルのリン酸化 (substrate-lebel phosphoryation)の内1つである。

この反応はMg2+を必要とする。段階6のアルデヒドの酸化と段階7のATPの生成は共役して、1,3-ビスホスホグリセリン酸を中間体とするエネルギー共役反応を構成する。

最初のアシルリン酸基の形成反応は吸エルゴン反応で、次のATPの生成は強い発エルゴン反応である。

二つの反応を合計すると以下の式で表すことができる。反応全体では発エルゴン反応である。



段階8: リン酸基の分子内転移

このステップの反応は異性化ではなくムターゼによる分子内転移であることに注意。

グリセリン酸のリン酸基がホスホグリセリン酸ムターゼ (phosphoglycerate mutase、PGM、EC 5.4.2.1)の触媒により可逆的に転移し、2-ホスホグリセリン酸 (2-phosphoglycerate)に変換される。

この反応はMg2+を必要とする。

この反応は2段階で行われるが、反応機構は動物と植物で異なる。

動物では酵素の活性化部位のHis残基が前もってリン酸化されており、それが3-ホスホグリセリン酸のC2位のヒドロキシ基に転移し、中間体2,3-ビスホスホグリセリン酸 (2,3BPGまたは単にBPG)が生成する。

次に2,3BPGのC3位から同じHis残基にリン酸基を転移し、リン酸化された酵素が再生するとともに2-ホスホグリセリン酸が生成する。

ホグリセリン酸ムターゼがまず最初にリン酸化されるためには、2,3-ビスホスホグリセリン酸が必要である。

つまり触媒反応を開始するためには少量の2,3-ビスホスホグリセリン酸が常に細胞内に蓄えられていなくてはならない。


植物では2,3-ビスホスホグリセリン酸中間体を作らない。

まず酵素に3-ホスホグリセリン酸が結合し、活性化部位にリン酸基が転移する。

このリン酸基がC2位に戻されることによって2-ホスホグリセリン酸が生成する。





段階9: 2-ホスホグリセリン酸の脱水

報酬期の4番目のステップでは再び高エネルギーリン酸転移ポテンシャルを有する化合物を生成する。

ホスホピルビン酸ヒドラターゼ (phosphopyruvate hydratase、EC 4.2.1.11)の触媒反応によって2-ホスホグリセリン酸のC2位とC3位からH2Oが可逆的に脱離され、ホスホエノールピルビン酸 (phosphoenolpyruvate、PEP)に変換される。

ピルビン酸が不安定なエノールを固定しているため、リン酸転移ポテンシャルは極めて高い。

参考としてリン酸基加水分解の標準自由エネルギーは、反応物である3-ホスホグリセリン酸がΔG = -17.6 kJ/mol、生成物であるホスホエノールピルビン酸がΔG = -61.9 kJ/mol。

両化合物の保有する総エネルギー量はほぼ同じであるが、脱水反応によってエネルギーの再分布が起こるのである。

この反応を進めるためには2つのMg2+の関与を必要とする。

1つは"コンホメーション性の (conformational)"イオンで基質のカルボキシ基に結合する。

もう1つは"触媒性の (catalytic)"イオンでカルボキシ基とリン酸基に結合する。

2つのイオンが酸化を打ち消し、エノラーゼの活性中心のリシン残基がC-2位の水素原子を引き抜き、エノラーゼのグルタミン酸残基の水素原子と3位のOHとがH2Oを形成する。






段階10: ホスホエノールピルビン酸からADPへのリン酸基の転移

解糖経路最後のステップは、ピルビン酸キナーゼ (pyruvate kinase、EC 2.7.1.40)の触媒によるホスホエノールピルビン酸からADPへのリン酸基の転移であり、ピルビン酸 (pyruvate)とATPが生成する。

この反応にはK+およびMg2+またはMn2+のどちらかが必要である。

第二の基質レベルのリン酸化である。

細胞内の条件では不可逆な反応で、重要な調節点の一つである。

ホスホエノールピルビン酸のリン酸無水結合の加水分解で放出されたエネルギーの約半分 (30.5 kJ/mol)はATPに保存される。

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2014年07月13日

解糖系について(3)

●解糖系について(3)

●解糖系の過程

段階4: 開裂

解糖系の最初の3つの反応はフルクトース1,6ビスリン酸を開裂させ、2当量の異なるトリオースリン酸を作り出すための準備である。

このステップでは、前の反応で生まれたフルクトース 1,6-ビスリン酸分子がフルクトース1,6-ビスリン酸アルドラーゼ (fructose1,6-bisphosphate aldolaseまたは単にアルドラーゼ aldolase、EC 4.1.2.13)によりグリセルアルデヒド 3-リン酸 (Glyceraldehyde 3-phosphate、G3P)とジヒドロキシアセトンリン酸(Dihydroxyacetone phosphate、DHAP)に分解される。

準備期の目的産物であるグリセルアルデヒド3リン酸をこの段階で1当量、さらに、次の段階でもジヒドロキシアセトンリン酸から1当量獲得する。

アルドラーゼの触媒する反応は、フルクトース-1,6-ビスリン酸が開裂する方向に対して大きな正の標準自由エネルギー変化(G'° = 23.8 kJ/mol)をもたらすが、実際は細胞内でほぼ平衡状態で、解糖系の制御点にはならない。

なぜなら、細胞内に存在する生成物の濃度が低いときは、実際の自由エネルギー変化が小さく、逆反応が起こりやすくなるためである。



アルドラーゼには2つのクラスが存在する。

I型アルドラーゼは動物や植物に存在し、II型アルドラーゼは菌類や細菌類に存在する。

両者はヘキソースの開裂機構が異なる。




段階5:トリオースリン酸の異性化


前段階でできた2種類の分子のうち、グリセルアルデヒド 3-リン酸は報酬期の最初のステップである6段階目の反応の基質となる。

一方、ジヒドロキシアセトンリン酸はトリオースリン酸イソメラーゼ (triose phosphate isomerase、EC 5.3.1.1)が触媒する可逆的な反応により、速やかにグリセルアルデヒド 3-リン酸に変換される。

トリオースリン酸イソメラーゼは立体特異的に反応の触媒を行うので、D体のみが生成する。

ジヒドロキシアセトンリン酸から変換されてできたグリセルアルデヒド 3-リン酸の炭素1, 2, 3はグルコースの3, 2, 1位の炭素に由来する。

一方段階4で生成したほうの炭素1, 2, 3はグルコースの4, 5, 6位の炭素に由来する。

しかし両グリセルアルデヒド 3-リン酸のそれぞれの位置の炭素は化学的には全く区別がつかない。

この反応により、ヘキソース分子から2当量のグリセルアルデヒド 3-リン酸が生成され、解糖の準備期は終結する。





報酬期

解糖系後半の5ステップを報酬期 (payoff phase)と呼ぶ。

報酬期では2分子のグリセルアルデヒド3-リン酸がピルビン酸へ変換され、グルコース1分子あたり4分子のADPがATPへと変換され、グルコースの自由エネルギーの一部が保存される。

準備期で2分子のATPが消費されているので、解糖系通じてのATPの純益は2分子となる。

またグルコース1分子あたり2分子のNADHが生成される。




段階6: グリセルアルデヒド 3-リン酸の酸化

報酬期の最初のステップでは、グリセルアルデヒド 3-リン酸がグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ (リン酸化) (glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase (phosphorylating)、EC 1.2.1.12)の触媒する反応により、1,3-ビスホスホグリセリン酸 (1,3-bisphosphoglycerate)に変換される。

グリセルアルデヒド 3-リン酸のアルデヒド基が脱水素され、1分子のNAD+がNADHに変換される。

グリセルアルデヒド 3-リン酸のアルデヒド結合が酸化されると、標準自由エネルギーが大きく減り、減ったエネルギーの多くはアシルリン酸基に保存される。

アシルリン酸とはカルボン酸#アシル基( R-CO- )とリン酸のエステル結合をもつ物質の総称で、加水分解時のエネルギー放出が極めて大きい(G'^\circ = -49.3 kJ/mol)(→高エネルギーリン酸化合物)。

このエネルギーが次の段階でADPからATPを生成するのに必要である。


Hg2+などの重金属が酵素の活性部位のシステインと反応した場合、酵素反応が不可逆に阻害される。

NAD+は細胞内に限られた量しか存在しないため、NADHが再び酸化されNAD+が絶え間なく供給されなければ反応はストップしてしまう。

NADHが再酸化される反応の例としてアルコール発酵や乳酸発酵がある。

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