●細胞小器官
真核細胞の内部には、細胞小器官(細胞器官、オルガネラ)と呼ばれる膜に包まれた構造体がある。
これらはそれぞれ特有の機能を持ち、まるで生命個体の器官のように働くため、このような名称がつけられた。
例えば酸素を吸収し二酸化炭素を排出する面から見た呼吸の役割は、ミトコンドリアと比される。
消化を高分子を取り入れて加水分解することとすれば、口はピノソーム、消化管はリソソームに相当する。
他に、
マイクロフィラメント(アクチンフィラメント)
中間径フィラメント(中間フィラメントあるいは10nmフィラメント)
デスモソーム(接着斑)
ギャップ結合(間隙結合あるいはネクサス)
タイト結合(タイトジャンクションあるいは密着結合、閉鎖帯)
エンドソーム
ペルオキシソーム
分泌顆粒(分泌小胞)
なども存在する。
微小管、中間系フィラメントおよびアクチンフィラメントをまとめて、細胞骨格と呼ぶ。
●そのあり方
実際には、すべての生物で細胞がこの様な構造が見られるわけではない。
原生生物は多細胞生物の細胞と同様に核構造を持ち真核生物に分類されるが、変形菌の変形体やミズカビ・ケカビなどでは大きな体が細胞に分かれておらず、しかも多数の核を含む。
これは細胞の成長と核分裂が起きても細胞質分裂が起きないためで、多数の細胞に当たる内容が単一の細胞容器に含まれる。
この様な生物は多核体と呼ばれる。
同様に多数の細胞に当たる内容が単一の細胞の輪郭に含まれるものは多細胞生物にもあり、例えば横紋筋などがそうであるが、これはむしろ多数の細胞が融合したものと見なし、これを合胞体という。
多細胞生物では、逆に細胞として不可欠なはずの内容を欠く例もある。
例えば我々ほ乳類の赤血球には核がない。
これはむしろ多細胞生物に見られる細胞の役割分担の中で、なくてもその機能が果たせる場合にはそれが退化することもある、ということであろう。