●原核生物から多細胞生物へ
45億年前と言われる地球誕生後、最初の細胞は40億年前頃に原核生物として誕生した。
真核背細胞への進化はその15億年後に成されたが、当初は単細胞生物であった。
多細胞生物が誕生するには更に10億年の期間を待たなければならなかった。
原核細胞と真核細胞の大きな差異である核や細胞小器官は、それぞれが膜に包まれ、内容物を閉じ込めている。
核では傷つきやすいDNAであり、葉緑体やミトコンドリアはエネルギー転移系、小胞体やゴルジ体は膜合成系と分泌器官系、細胞にとって危険な過酸化水素をつくる酵素ベルオキシダーを閉じ込めるミクロボディや、リソソームはやはり危険を伴う酵素や異物の消化を行う。
このような小器官は複数の発生段階を踏んだと考えられている。
葉緑体やミトコンドリアはそれぞれの機能を持つ原核生物を、初期の真核生物が食作用で細胞内に取り込み共生し、現在の姿になったと考えられる。
この根拠として、両者は2重以上の単位膜に覆われ、独自のDNAを持ち、原核生物と同じ70Sのリボソームを持ち、また2重以上の単位膜に覆われる点が挙げられる。
特に複数の膜は、内側が原核生物時代の細胞膜、外側が真核生物の食作用時につくった窪み部分の細胞膜をそれぞれ由来とすると思われる。
機械的に脆いDNAを守る核も2重の単位膜を持つ。
この由来はよく分かっていないが、原核細胞で見られるDNAが付着する細胞膜部分の周囲がへこみ、2重に折りたたまれた単位膜がDNAを覆った球状器官が細胞内部に入ったという意見がある。
小胞体やゴルジ体は1重の単位膜で構成される。
タンパク質の合成と分泌に関わるこれら小器官に相当する機能を原核細胞では細胞膜と付着するリボソームで行っている。
真核細胞は進化の過程でリボソームを持つ細胞膜の一部を内部に凹ませ、細胞内でのタンパク質合成とゴルジ体そして液胞を使った分泌のメカニズムを獲得したという説がある。
同様に1重単位膜のリソソームも、食作用のため細胞膜の一部を異物を取り囲むように腔を作った部分の変化とも考えられる。
多細胞生物は生命活動の役割を細胞単位で分担しているという特徴がある。
しかし、このように違う各細胞のDNAは基本的に変わらない。
これは、ひとつはDNAの発現部分の選択や後成的な仕組みによってコントロールされる。
これらはエピジェネティックと呼ばれる。