2014年07月11日

解糖系について(2)

●解糖系について(2)


●解糖系の過程

解糖系では1分子のグルコースから2分子のピルビン酸が生成し、クエン酸回路に引き渡す。グルコースからピルビン酸までに経る物質を以下に記す。

グルコース

グルコース-6-リン酸

フルクトース-6-リン酸

フルクトース-1,6-ビスリン酸

ジヒドロキシアセトンリン酸 ※

グリセルアルデヒド-3-リン酸 ※

1,3-ビスホスホグリセリン酸

3-ホスホグリセリン酸

2-ホスホグリセリン酸

ホスホエノールピルビン酸

ピルビン酸

※ジヒドロキシアセトンリン酸とグリセルアルデヒド-3-リン酸は平衡の関係にある。





●解糖系の準備期


解糖系前半の5ステップは準備期 (preparatory phase)と呼ばれる。

準備期では2当量のATPが投入され、グルコースから最終的にグリセルアルデヒド3-リン酸 (G3P)への変換が行われる。



準備期の最初のステップでグルコースは、ヘキソキナーゼ (hexokinase、EC 2.7.1.1)と呼ばれる酵素によってリン酸化される。

ATPがリン酸基の供与体であり、γ-リン酸基がグルコースのC-6位に転移され、グルコース 6-リン酸 (glucose 6-phosphate、G6P)が生成される。

この反応はMg2+を必要とする。



ヘキソキナーゼにはいくつかのアイソザイム (isozume)が存在する。

アイソザイムとは、同じ反応を触媒するが、コードされている遺伝子の異なる酵素のことである。

哺乳類の組織にはヘキソキナーゼと呼ばれるアイソザイムが4種類(ヘキソキナーゼI,II,III,IV)存在し、それぞれグルコースに対する親和性 (Km値)に差がある。


ヘキソキナーゼI, II, IIIのKm値は10-6Mであるが、ヘキソキナーゼIV、別名グルコキナーゼ (glucokinase)のKm値はずっと大きく10-2 Mほどもある。

理由は、グルコキナーゼが担う役割による。

グルコキナーゼは肝細胞に多く存在する。普通、血中のグルコース濃度はグルコキナーゼのグルコースに対するKmより低いためグルコキナーゼは十分に働かない。

この場合はヘキソキナーゼのほかのアイソザイムが反応を触媒する。

しかし、グルコース濃度が高くなればグルコキナーゼは活性を発揮しだす。

グルコキナーゼが飽和することはまずないので、肝細胞のグルコース濃度が著しく高くなっても、スムーズに解糖経路やグリコーゲン合成経路に送ることができる。

細胞内のグルコース濃度は細胞外より低濃度に保たれているが、これは細胞外へのグルコースの流出を防ぎ、細胞内への膜輸送を促進するためである。




●段階2: グルコース 6-リン酸の異性化

2つめのステップでは、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ (glucose-6-phosphate isomerase、EC 5.3.1.9)、別名ホスホヘキソースイソメラーゼ(phosphohexose)、ホスホグルコースイソメラーゼ(phosphohexose isomerase)によりグルコース 6-リン酸がフルクトース 6-リン酸 (Fructose 6-phosphate、F6P)に変換される。

この反応もMg2+を必要とする。

この反応は自由エネルギー変化が小さいためどちらの方向にも進みうるが、フルクトース 6-リン酸は次のステップでどんどん不可逆的に消費されているので逆反応はおこりづらい。


グルコース 6-リン酸のαアノマー、つまりα-D-グルコピラノース 6-リン酸にグルコース-6-リン酸イソメラーゼは優先的に結合して環を開けた後、アルドースからケトースへと転換する。



●段階3: フルクトース 6-リン酸のリン酸化

3つめのステップでは、ホスホフルクトキナーゼ-1 (phosphofructokinase-1、EC 2.7.1.11)がATPのリン酸基をフルクトース 6-リン酸のC1ヒドロキシ基に転移させてフルクトース 1,6-ビスリン酸 (fructose 1,6-bisphosphate、F1,6BP)を生成する。

この反応もMg2+を必要とする。

この反応は不可逆で、糖新生の際は別の経路を使わなければならない。

また、この反応は解糖系の重要な調節点である。

なぜホスホフルクトキナーゼ-1の活性調節が重要かというと、解糖系のすべての基質がこの反応から合流するからだ。

解糖系の基質はグルコースだけでなく、フルクトース、マンノースなどのグルコースのほかのヘキソースもある。

これらのヘキソースは、それぞれの経路でフルクトース6リン酸になることで、この反応から解糖系に入ることが可能だ。

また、この反応は解糖系独自の段階として初めのものというのも理由として挙げられる。

解糖系の段階1、段階2で合成されるグルコース 6-リン酸とフルクトース 6-リン酸はほかの経路でも消費されるが、フルクトース 1,6-ビスリン酸は解糖経路でしか代謝されない。

そのため、この段階の調節は解糖系のみを操作することにつながる。


ほとんどすべての植物、そしてある種原生動物や細菌では、同じ反応を触媒する酵素としてピロリン酸依存ホスホフルクトキナーゼ (Pyrophosphate dependent phosphofructokinase、PFP、PPi-PFK)を使うことがわかっている。

この酵素はフルクトース 1,6-ビスリン酸の合成においてATPではなくピロリン酸(PPi)を使用する。

posted by ホーライ at 03:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 体内のエネルギー産出 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/401489802

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。