2014年07月13日

「 whooping cough 」って何?

問題1.次の文章は何について説明しているか?

百日咳菌による気道(気管・気管支)の急性伝染病で、感染症予防・
医療法(感染症法)で5類感染症(小児科定点把握)に分類されている。

患者の咳を浴びることによって感染(飛沫(ひまつ)感染)する。

伝染力が強く、免疫がなければほとんど100%発症する。

患者の過半数は3歳未満の乳幼児で、母親からの免疫を受け継がな
いので、新生児でもかかることがあり、死亡例は1歳未満に集中する。

(1) whooping cough  (2)opportunistic infection







」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(1) whooping cough(百日咳)


【参考】

(2)opportunistic infection = 日和見感染

通常の健康な人には無害な菌あるいは弱毒菌が、感染に対する宿主の抵抗力が
弱まったときにおこす感染症をいう。
治療の内容が高度化し複雑になってきた臨床的背景のもとに注目されてきた疾
患群で、抗生物質や免疫抑制剤の繁用、制癌剤や放射線療法の副作用に宿主側
の要因などが重なり合っておこる。







問題2.次の説明文は何を説明しているか?

麻疹(はしか)に似た発疹(ほっしん)ができる急性伝染病で、ドイツの医師
により初めて記載されたので「ドイツはしか」ともいい、また症状が軽くて2〜3日
で発疹が消えるところから「三日はしか」ともよばれる。

病原体はウイルスの一種で、飛沫感染するが伝染力は麻疹ほど強くない。
罹患すれば終生免疫が得られる。

妊娠初期の女性が罹患すると、先天性風疹症候群の子供を出産する危険性が
あるので、臨床上では小児よりもむしろ成人に問題点がある疾患といえる。



(1)プリオン(prion)    (2)風疹(rubella )


     




」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(2)風疹(rubella )



【参考】

(1)プリオン(prion)

感染性のタンパク粒子proteinaceous infectious particle。

ウイルスや細菌と同様に病原体の種類として提唱された名称がプリオンである。
スローウイルス感染症といわれる人間や動物の脳神経病の原因として注目されている。

ヒツジがかゆがり、体が震え、足がまひする病気のスクレイピー、ミンクの脳病、
牛海綿状脳症(BSE)、人間のクロイツフェルト・ヤコブ病などの原因になる。

アメリカのカリフォルニア大学教授プルジナーが命名、当初は遺伝子なしに増殖
できる謎のタンパク質と考えられた。

その後の研究で人間や動物が自分のもつ遺伝子で正常型プリオンをつくった後、
異常型にかわると病原性をもつとわかった。

プリオンはアルツハイマー病の患者の脳にたまる物質、アミロイドの一種でもあり、
一連の病気の解明につながると世界的な関心がもたれている。

なお、プルジナーはプリオンの研究により1997年のノーベル医学生理学賞をうけた。







問題3.次の説明文は何を説明しているか?

おもにコクサッキーA群のウイルスの感染によっておこる乳幼児の夏かぜの一種で、
咽頭粘膜に小水疱を生じ、のどが狭まるところから水疱性口峡炎ともよばれる。

5歳までの乳幼児が90%を占め、晩春から夏にかけて多発する。

ウイルスは咽頭分泌物や糞便中に存在し、飛沫感染あるいは経口感染する。


(1)ヘルパンギーナ  (2)ヘルペス感染症





」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(1)ヘルパンギーナ


【参考】

(2)ヘルペス感染症

単純疱疹(ほうしん)(ヘルペス)ウイルスによる感染症で、
多彩な臨床型を呈する。

単純ヘルペスウイルスには型と型があり、口唇疱疹など上半身の病変は
主として型、陰部疱疹など下半身の病変は主として型によることが多い。

このほか、熱性疱疹、疱疹性湿疹、疱疹性歯肉口内炎(アフタ性口内炎)、
疱疹性角膜炎、疱疹性陰門腟(ちつ)炎、疱疹性脳炎など、皮膚粘膜ば
かりでなく中枢神経系や内臓器官の病変もみられる全身感染症であり、
広義の単純性疱疹に相当する。

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2014年07月11日

解糖系について(2)

●解糖系について(2)


●解糖系の過程

解糖系では1分子のグルコースから2分子のピルビン酸が生成し、クエン酸回路に引き渡す。グルコースからピルビン酸までに経る物質を以下に記す。

グルコース

グルコース-6-リン酸

フルクトース-6-リン酸

フルクトース-1,6-ビスリン酸

ジヒドロキシアセトンリン酸 ※

グリセルアルデヒド-3-リン酸 ※

1,3-ビスホスホグリセリン酸

3-ホスホグリセリン酸

2-ホスホグリセリン酸

ホスホエノールピルビン酸

ピルビン酸

※ジヒドロキシアセトンリン酸とグリセルアルデヒド-3-リン酸は平衡の関係にある。





●解糖系の準備期


解糖系前半の5ステップは準備期 (preparatory phase)と呼ばれる。

準備期では2当量のATPが投入され、グルコースから最終的にグリセルアルデヒド3-リン酸 (G3P)への変換が行われる。



準備期の最初のステップでグルコースは、ヘキソキナーゼ (hexokinase、EC 2.7.1.1)と呼ばれる酵素によってリン酸化される。

ATPがリン酸基の供与体であり、γ-リン酸基がグルコースのC-6位に転移され、グルコース 6-リン酸 (glucose 6-phosphate、G6P)が生成される。

この反応はMg2+を必要とする。



ヘキソキナーゼにはいくつかのアイソザイム (isozume)が存在する。

アイソザイムとは、同じ反応を触媒するが、コードされている遺伝子の異なる酵素のことである。

哺乳類の組織にはヘキソキナーゼと呼ばれるアイソザイムが4種類(ヘキソキナーゼI,II,III,IV)存在し、それぞれグルコースに対する親和性 (Km値)に差がある。


ヘキソキナーゼI, II, IIIのKm値は10-6Mであるが、ヘキソキナーゼIV、別名グルコキナーゼ (glucokinase)のKm値はずっと大きく10-2 Mほどもある。

理由は、グルコキナーゼが担う役割による。

グルコキナーゼは肝細胞に多く存在する。普通、血中のグルコース濃度はグルコキナーゼのグルコースに対するKmより低いためグルコキナーゼは十分に働かない。

この場合はヘキソキナーゼのほかのアイソザイムが反応を触媒する。

しかし、グルコース濃度が高くなればグルコキナーゼは活性を発揮しだす。

グルコキナーゼが飽和することはまずないので、肝細胞のグルコース濃度が著しく高くなっても、スムーズに解糖経路やグリコーゲン合成経路に送ることができる。

細胞内のグルコース濃度は細胞外より低濃度に保たれているが、これは細胞外へのグルコースの流出を防ぎ、細胞内への膜輸送を促進するためである。




●段階2: グルコース 6-リン酸の異性化

2つめのステップでは、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ (glucose-6-phosphate isomerase、EC 5.3.1.9)、別名ホスホヘキソースイソメラーゼ(phosphohexose)、ホスホグルコースイソメラーゼ(phosphohexose isomerase)によりグルコース 6-リン酸がフルクトース 6-リン酸 (Fructose 6-phosphate、F6P)に変換される。

この反応もMg2+を必要とする。

この反応は自由エネルギー変化が小さいためどちらの方向にも進みうるが、フルクトース 6-リン酸は次のステップでどんどん不可逆的に消費されているので逆反応はおこりづらい。


グルコース 6-リン酸のαアノマー、つまりα-D-グルコピラノース 6-リン酸にグルコース-6-リン酸イソメラーゼは優先的に結合して環を開けた後、アルドースからケトースへと転換する。



●段階3: フルクトース 6-リン酸のリン酸化

3つめのステップでは、ホスホフルクトキナーゼ-1 (phosphofructokinase-1、EC 2.7.1.11)がATPのリン酸基をフルクトース 6-リン酸のC1ヒドロキシ基に転移させてフルクトース 1,6-ビスリン酸 (fructose 1,6-bisphosphate、F1,6BP)を生成する。

この反応もMg2+を必要とする。

この反応は不可逆で、糖新生の際は別の経路を使わなければならない。

また、この反応は解糖系の重要な調節点である。

なぜホスホフルクトキナーゼ-1の活性調節が重要かというと、解糖系のすべての基質がこの反応から合流するからだ。

解糖系の基質はグルコースだけでなく、フルクトース、マンノースなどのグルコースのほかのヘキソースもある。

これらのヘキソースは、それぞれの経路でフルクトース6リン酸になることで、この反応から解糖系に入ることが可能だ。

また、この反応は解糖系独自の段階として初めのものというのも理由として挙げられる。

解糖系の段階1、段階2で合成されるグルコース 6-リン酸とフルクトース 6-リン酸はほかの経路でも消費されるが、フルクトース 1,6-ビスリン酸は解糖経路でしか代謝されない。

そのため、この段階の調節は解糖系のみを操作することにつながる。


ほとんどすべての植物、そしてある種原生動物や細菌では、同じ反応を触媒する酵素としてピロリン酸依存ホスホフルクトキナーゼ (Pyrophosphate dependent phosphofructokinase、PFP、PPi-PFK)を使うことがわかっている。

この酵素はフルクトース 1,6-ビスリン酸の合成においてATPではなくピロリン酸(PPi)を使用する。

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2014年07月07日

解糖系について(1)

●解糖系について(1)

解糖系(かいとうけい、Glycolysis)とは、生体内に存在する生化学反応経路の名称であり、グルコースをピルビン酸などの有機酸に分解(異化)し、グルコースに含まれる高い結合エネルギーを生物が使いやすい形に変換していくための代謝過程である。

ほとんど全ての生物が解糖系を持っており、もっとも原始的な代謝系とされている。

嫌気状態(けんきじょうたい、無酸素状態のこと)でも起こりうる代謝系の代表的なもので、別名嫌気呼吸(けんきこきゅう)、無気呼吸(むきこきゅう)などとも呼ばれる。



●解糖系の種類

解糖系にはいくつかの種類がある。

エムデン-マイヤーホフ経路(EM経路)

エントナー-ドウドロフ経路(ED経路)

ペントースリン酸経路(PP経路)


このなかで、最も一般的なものがエムデン-マイヤーホフ経路であり我々のよく知る真核生物や嫌気性の真正細菌においては全てこの経路がとられている。

エントナー-ドウドロフ経路は好気性の真正細菌でよく見られる。

ペントースリン酸経路は、その目的のために解糖系に含まれない場合もある。

また、古細菌では変形EM経路、変形ED経路という以下に述べるものとは細部の異なるものが個々の種によって選択されている。




●エムデン-マイヤーホフ経路

エムデン-マイヤーホフ経路(以下EM経路)は、真核生物、嫌気性真正細菌の糖代謝系である。

EM経路では10数種類の酵素が関与しており、無酸素状態でもエネルギー通貨であるATPを生産することが可能である。



好気性の生物では好気呼吸の初段階として用いられているが、その場合はピルビン酸まで反応が進み、そこからクエン酸回路に入ることとなる。

逆に無酸素状態であればピルビン酸は乳酸といった有機酸やエタノールなどに変化する。


これはピルビン酸を乳酸に還元することでEM回路を続行するのに必要なNAD+などを補うためである。

発酵過程はこの解糖系で発生している(乳酸発酵、エタノール発酵など)。



また、好気性の生物でも過剰な運動などによりクエン酸回路の能力を超えたATPが必要になった場合に解糖系によるATP合成が活発になりクエン酸回路で処理しきれないピルビン酸が生成され、過剰なピルビン酸が乳酸に変換されるため結果的に血中乳酸濃度が上昇する。

長らく筋線維への乳酸の蓄積が運動後の筋肉痛の原因であると信じられてきたが、近年では筋線維への微細な損傷が筋肉痛の主な原因であるという考え方が主流となってきている(英語版WikipediaのLactic Acidを参照)。



ATPの収支については、反応では4分子のATPが生成されるものの、グルコースやフルクトース6リン酸のリン酸化のために2分子のATPが消費されるので、都合グルコース1分子当たりでは2分子のATPが生成されることになる。

また電子伝達系に用いられるNADHは2分子の生産となる。



●変形EM経路

一部の古細菌(テルモコックス綱やメタノコックス綱。共に嫌気性ユリアーキオータ)が使用するEM経路に類似する代謝系である。

EM経路と比較してグリセルアルデヒド3-リン酸からホスホグリセリン酸への経路がバイパスされる点が大きく異なる。

このため、この系で本来生み出されるATPが生成されないが、ホスホエノールピルビン酸の脱リン酸化の際に、ADPではなくAMPが消費され、ATPが生み出されるため、総合的な収支としては通常のEM経路に等しい。

なお、ホスホエノールピルビン酸の脱リン酸化の際に使用されるAMPは、グルコース及びフルクトース6リン酸のリン酸化のために、ATPではなくADPが消費されることによって供給される。

この点でも異なっている。



●エントナー-ドウドロフ経路

エントナー-ドウドロフ経路(以下ED経路)は好気性の真正細菌によく見られる代謝系である。

関与している酵素の数は少なく5種類程度である。この系も無酸素状態で稼動する。



EM経路と同様グルコース1分子あたりピルビン酸2分子を生じ、無酸素状態の場合は乳酸やエタノールを生産する。

ただし、ATPの収支ではグルコース1分子辺りATP1分子とEM経路よりも少なく、系が単純な分やや効率は悪い。

ただしNADHを2分子生産する。



古細菌では、好気性のものや、一部の嫌気性クレンアーキオータがED経路を備えている。

しかし、グルコースのリン酸化を伴わない、または一部の経路がリン酸化せずに進行するため、非リン酸化ED経路、部分リン酸化ED経路などと呼ばれている。




●ペントースリン酸経路

ペントースリン酸経路(以下PP経路)は、エネルギー生産系よりはむしろ物質生産を目的としている系である。

脂質、リグニンの生産に必要なNADPHや、核酸の生合成に必要なデオキシリボース・リボースといったヘキソースの生成に関係している。

植物ではEM経路とPP経路が存在しているが、解糖のうち30%程度はPP経路に回っていると考えられている。

なお、解糖系とその両端が接続されており、解糖系の一部とあわせて回路を形成していることから、ペントースリン酸回路とも呼ばれる。


詳細な反応過程はペントースリン酸経路を参照。


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脊髄炎の特徴は?

問題1.次の文章は何について説明しているか?

ウイルスや種々の感染症、アレルギーなどによって急性ないし亜急性に、
びまん性または散在性の炎症が脊髄にみられる病気で、原因不明のものも少なくない。

近年、多発性硬化症に似た脱髄性のびまん性散在性の脳脊髄炎が多くみられ
、原因不明の脊髄炎の数は著しく減少している。

(1)赤痢   (2)脊髄炎





」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(2)脊髄炎

症状としては、急性ないし亜急性に四肢の痛み、発熱に引き続き、四肢の
弛緩性麻痺、知覚鈍麻ないし知覚脱失などが、病巣に一致する脊髄節以下
にみられ、膀胱・直腸障害をおこす。

慢性例では病巣以下に褥創をおこしやすく、二次性の感染症をおこして
死亡することもある。

脱髄性脊髄炎はインフルエンザや麻疹にかかり、回復したのち、または
予防注射などによっておこるアレルギー性の脊髄炎で、白質である脊髄
神経路がおもに冒されるが、回復も早く、痕跡を残さず治癒する例が多い。

治療は、急性期には絶対安静とし、副腎皮質ステロイドの
投与を行うと効果がある。

なお、多発性硬化症の一型であるデビック病は、急性の脊髄炎による
対麻痺と眼症状(視力低下から完全失明にまで至る視力障害)が同時
にみられるもので、視神経(視束)脊髄炎とよばれている。



【参考】

赤痢

dysentery

血液を混じた赤い下痢をおこす病気というのが病名の由来で、
発熱、粘血便を混じた頻回の下痢、下腹部痛、しぶり腹を主
症状とした腸管感染症をいう。

感染症予防・医療法(感染症法)により分類されている感染症で、
病原体によって細菌性赤痢(3類感染症)とアメーバ赤痢(5類感染症)
に分けられる。

しかし、アメーバ赤痢は熱帯地方に多くみられ、日本ではまれ
なため、単に赤痢といえば普通、細菌性赤痢をさす。





問題2.次の説明文は何を説明しているか?

原虫の一種である腟トリコモナスの感染によっておこる腟炎である。
性行為感染症の一つとされているが、浴槽、便器、下着、浴用タオ
ルなどに付着した帯下(たいげ)(おりもの)も感染源となる。

(1)腟トリコモナス症    (2)腸炎ビブリオ症
     





」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(1)腟トリコモナス症 

症状としては、帯下が多くなり、外陰掻痒(そうよう)感を伴うほか、
外陰部や腟部の灼熱感および発赤、性交時疼痛などもある。
とくに帯下の性状は特徴的で、牛乳様、希薄膿様の帯下にしばしば泡沫を混ずる。

治療としては、再発防止のため患者および配偶者に対して抗トリコモナス剤
(メトロニダゾールやチニダゾールなど)を同時に経口投与する。
ただし、妊婦に対しては内服を避け、抗トリコモナス剤含有腟錠を用いる。


【参考】

腸炎ビブリオ症

腸炎ビブリオVibrio parahaemolyticusによっておこる感染症で、
日本における細菌性食中毒のなかで、サルモネラ食中毒に次い
で重要な食中毒である。
7月から9月上旬にかけての夏季をピークとし、6月下旬から10月
上旬までの間に集中的に発生するのが特徴の一つである。






問題3.次の説明文は何を説明しているか?

発疹の性状と出現部位に特徴のある感染症で、おもにエンテロ
ウイルスに属するコクサッキーウイルスの感染により、
手足や口の中に水疱性の発疹が現れる疾患である。

(1)天然痘  (2)手足口病





」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(2)手足口病

1957年にカナダのトロントで流行したときに病原ウイルスが発見された
比較的新しい疾患であるが、その後に世界各地でも流行がみられ、
かなり普遍的な疾患であることが認められた。

最初はコクサッキーウイルスA16型(CA16型)による流行がみられたが、
その後エンテロウイルス71型(E71型)による流行もあり、他の型の
エンテロウイルスによる手足口病の散発例も報告されているところから、
手足口病はCA16型によるものが多いが、他のエンテロウイルス
(とくにE71型)の感染でもみられる症候群と考えられるようになった。



【参考】

(1)天然痘

痘瘡(とうそう)、疱瘡(ほうそう)ともよばれ、伝染力がきわめて強く、
昔は大流行を繰り返して多数の死亡者を出した急性発疹性伝染病で、
WHO(世界保健機関)の根絶宣言で知られる。

天然痘は人類だけが罹患する病気であり、種痘によって予防できる
病気であることに着目して、天然痘の発生地域に種痘を徹底的に実施したのである。


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2014年07月03日

細胞について(6)

●細胞について(6)


●ヒトの細胞

ヒトの細胞は、最小のリンパ球で直径約5 μm、最大のひとつ卵子は約120 μmある。

一般的な細胞は10-20 μmである。人体1kg当たりの平均的細胞数は約1兆個であり、体重60 kgの平均的男性の場合、その身体は約60兆個で作られている事になる。

ヒトの体には生殖細胞と体細胞があり、そのほとんどを占める体細胞は約200種で、増殖方法から大きく3種類の組織に分けられる。


1. 生理的再生系組織では、正常な状態でも常に細胞が再生・機能・死にある3つの群が存在する。

血液の単球は数日から比較的長い赤血球でも120日程度で死を迎え、一方で骨髄の幹細胞から常に再生供給される。

その入れ替わりは1分間に数億個に相当する。表皮や消化器系の上皮も常に基底部で新しい細胞が作られ、表面の細胞は死んで脱落を繰り返す。



2. 条件再生系組織の細胞は、通常ではほとんど増えないが、傷つくなど特別な状況で増殖を行う。

肝細胞はこの顕著な例で、分裂は通常の場合年に1回程度だが、手術などで一部を除去すると猛烈に増殖を行う。

例えば肝臓の70%を切除しても1週間程度で元に戻る。この種類の細胞になる幹細胞は未だ発見されていない。



3. 非再生系組織の細胞は増殖能力が無く、自然には再生しない。

神経細胞、骨格筋細胞、心筋細胞など特殊な機能に分化したものがこれに当たり、加齢とともに減少の一途を辿る。

筋力トレーニングで骨格筋は太くなるが、これは細胞が増えたのではなく細胞内のタンパク質が増えたものである。

同様に肥満も細胞が脂肪を蓄えたためで、細胞の数は基本的に変わらない。



以上

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2014年07月01日

細胞について(4)

●細胞について(4)


●原核生物から多細胞生物へ

45億年前と言われる地球誕生後、最初の細胞は40億年前頃に原核生物として誕生した。

真核背細胞への進化はその15億年後に成されたが、当初は単細胞生物であった。

多細胞生物が誕生するには更に10億年の期間を待たなければならなかった。



原核細胞と真核細胞の大きな差異である核や細胞小器官は、それぞれが膜に包まれ、内容物を閉じ込めている。

核では傷つきやすいDNAであり、葉緑体やミトコンドリアはエネルギー転移系、小胞体やゴルジ体は膜合成系と分泌器官系、細胞にとって危険な過酸化水素をつくる酵素ベルオキシダーを閉じ込めるミクロボディや、リソソームはやはり危険を伴う酵素や異物の消化を行う。


このような小器官は複数の発生段階を踏んだと考えられている。


葉緑体やミトコンドリアはそれぞれの機能を持つ原核生物を、初期の真核生物が食作用で細胞内に取り込み共生し、現在の姿になったと考えられる。

この根拠として、両者は2重以上の単位膜に覆われ、独自のDNAを持ち、原核生物と同じ70Sのリボソームを持ち、また2重以上の単位膜に覆われる点が挙げられる。

特に複数の膜は、内側が原核生物時代の細胞膜、外側が真核生物の食作用時につくった窪み部分の細胞膜をそれぞれ由来とすると思われる。


機械的に脆いDNAを守る核も2重の単位膜を持つ。

この由来はよく分かっていないが、原核細胞で見られるDNAが付着する細胞膜部分の周囲がへこみ、2重に折りたたまれた単位膜がDNAを覆った球状器官が細胞内部に入ったという意見がある。



小胞体やゴルジ体は1重の単位膜で構成される。

タンパク質の合成と分泌に関わるこれら小器官に相当する機能を原核細胞では細胞膜と付着するリボソームで行っている。

真核細胞は進化の過程でリボソームを持つ細胞膜の一部を内部に凹ませ、細胞内でのタンパク質合成とゴルジ体そして液胞を使った分泌のメカニズムを獲得したという説がある。

同様に1重単位膜のリソソームも、食作用のため細胞膜の一部を異物を取り囲むように腔を作った部分の変化とも考えられる。


多細胞生物は生命活動の役割を細胞単位で分担しているという特徴がある。

しかし、このように違う各細胞のDNAは基本的に変わらない。

これは、ひとつはDNAの発現部分の選択や後成的な仕組みによってコントロールされる。

これらはエピジェネティックと呼ばれる。


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2014年06月29日

細胞について(3)

●細胞について(3)

●細胞小器官

真核細胞の内部には、細胞小器官(細胞器官、オルガネラ)と呼ばれる膜に包まれた構造体がある。

これらはそれぞれ特有の機能を持ち、まるで生命個体の器官のように働くため、このような名称がつけられた。

例えば酸素を吸収し二酸化炭素を排出する面から見た呼吸の役割は、ミトコンドリアと比される。

消化を高分子を取り入れて加水分解することとすれば、口はピノソーム、消化管はリソソームに相当する。

他に、

マイクロフィラメント(アクチンフィラメント)

中間径フィラメント(中間フィラメントあるいは10nmフィラメント)

デスモソーム(接着斑)

ギャップ結合(間隙結合あるいはネクサス)

タイト結合(タイトジャンクションあるいは密着結合、閉鎖帯)

エンドソーム

ペルオキシソーム

分泌顆粒(分泌小胞)

なども存在する。

微小管、中間系フィラメントおよびアクチンフィラメントをまとめて、細胞骨格と呼ぶ。



●そのあり方

実際には、すべての生物で細胞がこの様な構造が見られるわけではない。

原生生物は多細胞生物の細胞と同様に核構造を持ち真核生物に分類されるが、変形菌の変形体やミズカビ・ケカビなどでは大きな体が細胞に分かれておらず、しかも多数の核を含む。

これは細胞の成長と核分裂が起きても細胞質分裂が起きないためで、多数の細胞に当たる内容が単一の細胞容器に含まれる。

この様な生物は多核体と呼ばれる。

同様に多数の細胞に当たる内容が単一の細胞の輪郭に含まれるものは多細胞生物にもあり、例えば横紋筋などがそうであるが、これはむしろ多数の細胞が融合したものと見なし、これを合胞体という。

多細胞生物では、逆に細胞として不可欠なはずの内容を欠く例もある。

例えば我々ほ乳類の赤血球には核がない。

これはむしろ多細胞生物に見られる細胞の役割分担の中で、なくてもその機能が果たせる場合にはそれが退化することもある、ということであろう。

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2014年06月28日

スモン(SMON)とは?

問題1.次の文章は何について説明しているか?

近年、新しいヒトの腸炎として世界各地で注目されている疾患。

細菌性下痢症の原因菌としては、赤痢菌、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌、コレラ菌、サルモネラ菌などが代表的なものであるが、このカンピロバクター・ジェジュニイCampylobacter jejuniは微好気性のグラム陰性、彎曲(わんきょく)した桿菌(かんきん)で、元来、ウシの流産の原因菌として獣医学領域で重要視されていたものの同類である。

(1)カンピロバクター腸炎   (2)過敏性腸症候群





」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」


(1)カンピロバクター腸炎


空腸と回腸に病変があって水様性の下痢が1日に数回から十数回に及び、腹痛、発熱、嘔吐を伴うことがあり、しばしば粘血便もみられる。

下痢は長くて10日間ぐらい持続するので、水分の補給が必要である。

エリスロマイシンなどマクロライド系の抗生物質が著効を示すが、セファロスポリン系薬剤などには耐性を示すので、投薬を誤ると症状の消失が長引く。

なお、集団発生する場合が多く、行政上、食中毒として扱われる。


【参考】

過敏性腸症候群

主として大腸の運動および分泌機能の異常で起こる病気の総称。

検査を行っても炎症や潰瘍など目に見える異常が認められないにもかかわらず、下痢や便秘、ガス過多による下腹部の張りなどの症状が起こる。

以前は大腸の機能の異常によって引き起こされる病気ということで「過敏性大腸症候群」と呼ばれていたが、最近では、大腸だけではなく小腸にも関係することなどからこのように呼ばれている。







問題2.次の説明文は何を説明しているか?

いったん発病すると中枢神経が侵されて数日間で死亡する疾患。人獣共通感染症の一つで、恐水病hydrophobiaともよばれ、「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)では4類感染症に分類されている。

(1)狂犬病     (2)風疹
     





」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(1)狂犬病 

日本では従来、イヌのみが狂犬病予防法の対象であったが、1999年(平成11)からネコ、アライグマ、キツネおよびスカンクも輸出入検疫が実施されることになった。

これは日本を含むごく一部の国を除いて、世界各地で現在なおイヌやネコ、その他の野生動物の間で流行がみられ、狂犬病にかかっている病獣による被害者や死亡者が多数報告されているからである。



【参考】

風疹

一般に日本では三日はしかとしても知られる。

風疹にかかった人は免疫ができ、二度とかからないといわれるが、ごくまれに再感染の事例はある。

妊娠初期に妊婦が感染した場合の先天性風疹症候群が大きな問題となる。

効果的な治療法は無く、ワクチンによる予防が最も重要である。




問題3.次の説明文は何を説明しているか?

抗毒素など高度に免疫された免疫血清を注射して感染症の治療を行う方法をいう。

ワクチン療法を代表とする能動的免疫療法に対して、受動的免疫療法である。

(1)抗体療法  (2)血清療法







」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(2)血清療法

【参考】

抗体療法

抗体(特定の腫瘍細胞を直接死滅させる作用または免疫系を刺激して腫瘍細胞を死滅させる作用を有する物質)を用いた治療法。





問題4.次の説明文は何を説明しているか?

胎児期または周産期におこる母から子への感染を総称する。

感染経路としては経卵感染、経胎盤感染、産道感染、母乳感染があるが、ヒトの場合はおもに産道感染で、経卵感染の例はまだ知られていない。

(1)水平感染    (2)垂直感染




」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(2)垂直感染



【参考】

水平感染

経胎盤感染や産道感染など胎児期や周産期に母から子へ感染する垂直感染が発見されてから、これに対して一般的な不特定多数の人々の間におこる感染を水平感染とよぶようになった。








問題5.次の説明文は何を説明しているか?

亜急性脊髄視神経障害(subacute myelo-optico-neuropathy)の頭文字をとった病名で、まだ原因不明のときに名づけられたもの。

現在ではキノホルム剤服用による中毒性神経障害とよぶべきものである。

(1)スモン(SMON)   (2)サリドマイド





」」」」」」」」」」
   正解
」」」」」」」」」」

(1)スモン(SMON)

昭和30年代の初めころから、日本で多数の患者が発生した原因不明の神経疾患であったが、1970年(昭和45)キノホルム剤服用により生ずる中毒性神経疾患の疑いが濃くなり、キノホルム剤の販売中止とともに患者の発症がみられなくなった。

1972年3月、原因はキノホルム剤服用によるものと結論され、厚生省(現厚生労働省)では特定疾患(難病)の一つとしてその対策が講じられた。

近年における薬害の一つとして重大な反省を迫られる疾患であり、新しい患者の発生はなくなったが、後遺症に悩む多数の患者に対する補償と治療、患者の社会復帰が大きな問題となっている。



【参考】

サリドマイド

サリドマイド (thalidomide) とは、1957年にグリュネンタール社(西独)が開発・発売した睡眠薬の名称である。

サリドマイドは、睡眠薬として即効性があるなど優れた特長を持っていたため、世界各国で販売(米国を除く)されていた。

しかし、サリドマイドを妊婦が飲んだ場合、奇形児(特に上肢の短縮)が生まれる可能性が高いことが分かってきて(レンツ警告、1961年11月)、先進国では直ちに販売中止、そして製品は回収された。

日本国内のサリドマイドは、大日本製薬株式会社(現・大日本住友製薬株式会社)が独自の製法を用いて合成を行い、1958年から販売を開始していた。

しかし、副作用が世界的な社会問題になってから製品の回収を終えるまで、約2年かかっている。 1

964年、全くの偶然から、サリドマイドがハンセン病患者に多発する難治性の皮膚炎(結節性紅斑)に劇的に効くことが確かめられた。

そしてその後、各種の難治性疾患に対する研究が進められた。

そうした中で、1998年、FDA(アメリカ食品医薬品局)は、サリドマイドの販売をついに許可した(1960年前後、不許可のまま)。

日本では、2009年2月、サリドマイドの販売が再開された。

なお、日本での効能・効果は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」となっている。

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2014年06月27日

細胞について(2)

●細胞について(2)


●原核細胞と真核細胞

細胞はその内部構造から原核細胞と真核細胞に分けられる。

これらの最も大きな差異は細胞核の有無であり、原核細胞には細胞核がない。

原核細胞には真正細菌と古細菌が含まれ、真核細胞は真核生物が含まれる。

また、原核細胞から構成される生物をまとめて原核生物と呼ぶ。

これら3 種類の生物群はドメインと呼ばれる最も上位の分類群で、古細菌と真核生物が近く、真正細菌が離れている。



原核細胞は真核細胞に比べ、細胞膜の中に懸濁したリボソームがあるだけの単純な構造を持つ。

原核細胞は単細胞生物や群体をなす生物に限定して見ることができ、五界説のモネラ界が相当する。

真核細胞は、その細胞膜の内側に細胞小器官を有する。



ミトコンドリアと葉緑体は細胞に取り込まれた真正細菌が共生したものに由来すると考えられている(細胞内共生説)。

単細胞の真核生物は非常に多様な種類があるが、群体や多細胞生物の種類も多い(多細胞生物の中に含まれる界である動物界、植物界、真菌は全て真核細胞生物である)。

なお、原核細胞を裸核細胞、真核細胞を被核細胞と呼ぶこともある。





●原核細胞

原核細胞は単純な組織を持ち、細胞を持つ生物の初期の形態を維持していると考えられる。

最大の特徴はDNAを含む核様体が膜の区切りが無く細胞質の中に漂っている事と、一般に単位膜で包まれた細胞小器官を持たない事である。

DNA は環状で、その一端が細胞膜の決まった箇所に付着している。



リボソームは細胞質中に浮遊したもの(遊離リボソーム)と、細胞膜に付着したもの(膜リボソーム)があるため細胞質気質はザラザラしている。

なお原核細胞のリボソームは真核細胞のそれよりやや小さい。



細胞膜は脂質二重層であり、その外側にモリクテス綱とテルモプラズマ綱を除くと細胞壁を持ち細胞内と外界とを隔てている。


エンドサイトーシスやミトコンドリアを持たない原核生物にとって、ここは電子伝達系を始めとした代謝の主要な場であり、盛んに内外との物質のやり取り、エネルギー生産などを行っている。


原核生物にとって細胞膜の機能は大変に重要であり、体積に対してある程度の表面積を確保する必要がある。

これが原核生物が細胞サイズをあまり拡大できない理由の一つといえる。

また細胞壁の存在は、低張液などの条件下での浸透圧による細胞の破裂を防止する。

原核藻類(シアノバクテリアなど)は光合成を行う機能を持つ。



この他目立つ構造に、鞭毛や線毛または莢膜や粘膜層を持つものがある。

鞭毛はアクチン様タンパク質フラジェリンの螺旋様多重合体であり、これが細胞壁から突き出して回転し、能動的に移動することができる。

線毛はタンパク質の繊維で、病原体などが他者へ付着することを容易にする。


水を多く含み細胞を取り巻く莢膜や粘膜層は、食作用を受けにくくさせる効果がある。


真正細菌と古細菌を比較した場合、鞭毛や細胞壁は細菌や古細菌がそれぞれ独立に持つものであり、目的は同じでも両者の構造に共通点はない。

また、古細菌の遺伝子発現やタンパク質合成系は真正細菌よりもむしろ真核生物に似ている(ただしDNA が細胞質中に存在するなど原核生物の基本的な性質は保存している)。

古細菌のエーテル型脂質、特にその立体構造の違いは両者を決定的に区別するが、これは真正細菌と古細菌の違いというより、むしろ古細菌とその他の生物を区別する特徴である。

原核細胞の生理は機能化が進んだ真核生物よりも多様である。

発見された数千種に過ぎない原核生物には、真核生物が成しえない硫黄からエネルギーを得るものや、空中窒素固定を可能にするものも存在する。



●真核細胞

真核細胞は原核生物よりも一般に大きく、数種類の細胞小器官を持つなど複雑な構造をしている。


細胞質の基質は原核細胞と違ってざらざらしていない。

これはリボソームの主要な部分が小胞体に結合しているためである。

真核細胞の細胞質には細胞骨格(サイトスケルトン)と呼ばれる微小な管やフィラメント状がつくる網目もしくは束状をした3次元構造がある。

これが特に発達した動物の細胞では、細胞骨格が各細胞の形を決定づける。



植物の場合、細胞の形は細胞壁による影響が大きいが、細胞骨格が原形質の流動を制御する。

細胞小器官はこの細胞骨格に定着しており、浮遊状態には無い。

細胞骨格は細胞質フィラメントと呼ばれる3種類のタンパク質からなる繊維に分けられる。

また、細胞質フィラメントは骨格的機能だけでなく、分泌や情報の伝達、また運動にも機能すると推定されている。



細胞膜は、原核細胞と構成は少々異なる部分もあるが、機能はほぼ同じである。

真核細胞では、細胞壁があるものもあれば、無いものもある。

真核細胞のDNA は、一本または複数本の分子から構成される直線状で原核生物よりも多く、染色体と呼ばれる。


染色体は、DNA がヒストンという塩基性タンパク質に絡みついた複合体(ヌクレオソーム)を構成してしっかりと凝縮した状態になっている。


全ての染色体のDNA は核の中に閉じ込められており、核膜によって細胞質と隔てられている。

何種類かの細胞内小器官は、それぞれが独自のDNA を持つものがある。

それらは大きさがほぼ細菌に近い事もあり、元々は別の生物だったものが共生によって細胞小器官となったとする考えを細胞内共生説という。



真核細胞生物の中には、繊毛や鞭毛で移動できるものがある。

鞭毛は原核生物のものとは構造が異なり、まったく違った性格のものであり、細胞骨格の一種である微小管がタンパク質繊維で結びついたものである。

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2014年06月25日

細胞について(1)

●細胞について(1)

細胞(さいぼう)とは、全ての生物が持つ、微小な部屋状の下部構造のこと。

生物体の構造上・機能上の基本単位。

そして同時にそれ自体を生命体と言うこともできる。

細胞を意味する英語の「cell」の語源はギリシャ語で「小さな部屋」を意味する語である。

1665年にこの構造を発見したロバート・フックが自著においてcellと命名した。



●『細胞』の概要

細胞は、生物の原始的な形態である単細胞生物(細菌・原生生物など)では個体そのもの、複雑な多細胞生物では組織を構成する基本的な単位である。

全ての生物がこの小部屋状の下部構造「細胞」から成り立ち、一般に「生物の最も基本的な構成単位」と認められ、細胞を持つことが生物の定義のひとつとされることもある。

この考えではウイルスやウイロイドは、細胞を持たず代謝を行わないことや自己増殖ができない点などから、生物とはみなされない。



細胞には、細胞質と外界を隔てる膜構造に包まれ、内部には解糖系・クエン酸回路などの代謝する経路などを担い生命活動を恒常的に行う器官を持ち、自己再生と複製をするための遺伝情報とそれを発現させる機能が備わっている。


生物は多様であり、分類するドメインは複数ある。

このうち、遺伝を担う共通の物質であるDNAがどのような形態に置かれているかによって、細胞そして生物は2種類に分類される。

DNAを保持するはっきりした構造を持たないものを原核生物(前核生物)と言い、その他の細胞小器官(オルガネラ)も持たない。

このような細胞は原核細胞(前核細胞・裸核細胞)と呼ばれる。


これに対し、DNAを包むはっきりした核を持つ細胞が真核細胞(被核細胞・有核細胞)であり、明確な細胞小器官も見られる。

細胞分裂においても、真核細胞が有糸分裂を行うのに対し、原核細胞は行わない。

さらに生物には、一つ一つの細胞が独立して生きていくような単細胞生物から、同じような細胞が集まって群体を形成して一緒に生きていくようなもの、また一つ一つの細胞に分かれては生きていけないほどまでに特殊化した細胞からなる多細胞生物まで、様々な形態がある。





●細胞を構成する原料


●元素

細胞は15種類以上の元素が含まれる。

重量比64%の酸素は水や有機化合物の他に、呼吸で取り込んだ酸素ガスに含まれる。

同18%の炭素は有機化合物の他に、呼吸で排出する二酸化炭素中にも存在する。

同10%の水素は水や有機化合物に使われる。

同3%の窒素はアミノ酸や塩基の原料となる。

ここまでの4種類は主要四元素と呼ばれる。

これに続き、神経細胞や細胞調整に使われるカルシウム・染色体やリン酸として使われるリン・ナトリウム・カリウム・塩素・マグネシウムなどが続き、さらに微量元素と呼ばれる鉄・亜鉛・マンガン・ヨウ素などがある。



●分子

生命に必須の物質といわれる水以外に細胞中に含まれる分子は、主に糖質・脂質・タンパク質(アミノ酸)・核酸の4種に分けられる。


糖質では、単糖のリボースがヌクレオチドの成分として重要である。

グルコースはエネルギー源となり、単純多糖化すると植物ではデンプン・動物ではグリコーゲンとなってエネルギー貯蔵能を持つ。

セルロースは植物細胞の構造を支え、多糖のグリコサミノグリカンは動物細胞の細胞外マトリックスに多く含まれる。



不水溶性の脂質はグリセロールとのエステルである中性脂肪の形で存在し、エネルギー貯蔵の役目を持つ。

また、リン酸と結合した脂質であるホスファチジルコリンなどのリン脂質は細胞膜の主成分である。



生体内においてタンパク質と核酸は、直接に遺伝情報を持つため「情報高分子」と呼ばれる。

酵素やリボソームなど生体物質などに使われるタンパク質は、 光学異性体L形に限られた20種類のアミノ酸がペプチド結合を重ね、高次構造を持ったさまざまな種類がある。


核酸は糖の1’位に塩基が結びついたヌクレオシドを基礎に、糖の4’位に結合したリン酸(ここまでの構造をヌクレオチドという)を介したジエステル結合によって連続的に繋がった構造を持つDNAと、そこから転写されつくられるヌクレオチド重合体であるRNAがある。

DNAの糖は2-デオキシリボース、RNAの糖はリボースである。

また塩基は、DNAではプリン塩基であるアデニン(A)とグアニン(G)およびピリミジン塩基であるシトシン(C)とチミン(T)の4種が、RNAではチミンに代わってピリミジン塩基のウラシル(U)を含む4種が使われる。



●全ての細胞に共通する性質と構造

全ての細胞は生体膜である細胞膜で包まれ、内部は生体物質を含む水溶液があり代謝の場となっている。

リボソーム、細胞質(原形質)といった共通の構成要素を持っている。



外界から内部を隔てる約5nmの厚みを持つ細胞膜は、脂質二重層にタンパク質が結合した構成を持っている。

その微細構造は疎水性の脂肪酸に親水性のリンや糖が結びついた分子が、疎水基を向かい合わせてP面を作り、親水基が外側のE面を作って緩く並び、所々にタンパク質が挟まっており、全体が流動している。

脂質部分は水や脂溶性物質のみの通過を許し、水溶性物質が通れる箇所は挟まったチャンネルタンパク質に空いた小さな穴のみ限定される上、キャリアタンパク質という箇所はエネルギーを消費して通過する物質を選択する性質を持つ。



細胞が持つDNAは、塩基配列または遺伝暗号 (genetic code)と言うヌクレオチドの塩基部分が並ぶ構造を持つ。

この塩基の並びは3つを基本的な単位としており、これをmRNAに転写し、細胞内のリボソームでmRNAの情報(コドン)が翻訳され、それに沿ってアミノ酸が数珠状に合成されタンパク質が作られる。

この一連の反応はすべての細胞に共通する基本的な原理であり、そのためセントラルドグマと呼ばれる。


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